うずとかみなり(2023年10月25日〜30日)
父は「七重の味の店めじろ」、弟は「Japanese Soba Noodles 蔦」と言わずと知れた天才ラーメン一家に生まれ、20年近くラーメン界のトップランナーとして駆け抜け、2022年3月には屋号を変え本鵠沼の地で再始動した、大西芳実店主率いる「うずとかみなり」さんです。
雷SOBA~辛旨酸の魔性の一杯~
店舗にて平日限定メニューを、ラーメンWalkerキッチンで特別提供したラーメンです。
事前情報無く注文したのですが、タイ風ラーメンで意外過ぎて驚きの一杯でした。
ラーメンにはパクチーと紫キャベツがのせてあり、彩りも非常に良いです。
味付けられた挽肉のペーストがスープに混じり、複雑な風味を生み出していました。
野菜以外には、温玉とレモンです。
レモンはスープのアクセントとしての酸味、温玉は食べすすめた時の甘みの追加で味変を促します。
食べながらラーメンらしい具材を探していると、穂先メンマを見つけました。
一見合わなそうなんですが、意外と違和感無く食べすすめることができました。
チャーシューとして、鶏胸肉のようなサッパリとした肉質なものがあれば、ラーメン感がもう少し出たのでは?
中太の手揉み麺は、モチモチ食感で非常に歯ごたえがあります。
強いインパクトを持つスープですが、中太麺は負けることなく、美味しさを実感できました。
スープはトムヤムクンに近い、酸味、旨味、甘みなどが複雑に入り交じっているので、材料を判別するのが難しいのですが、白く浮いた背脂にラーメン感を残しています。
タイ料理の雑妙な美味しさを消すことなく、見事にラーメンへと昇華させており、料理技術の高さを実感できる一杯でした。
パパパパパイン(2023年10月18日〜24日)
東京の町田にあり、確かな技術と変態的なセンスを爆発させ、超変化球なのに抜群の”美味しさ”で熱狂的ファンを生み出しているのが、倉田裕彰店主率いる「パイナップルラーメン(パパパパパイン)」さんです。
鶏とまぐろ節の白醤油ラーメン
パパパパパインさんと言えばパイナップルラーメンが有名ですが、ここはあえて渾身の新作をチョイスさせて頂きました。
ラーメンの見た目の美しさ、立った香りが非常に食欲をそそられます。
ラーメンには葱、フライドオニオン、マッシュルームが添えてあります。
煮込まれたマッシュルームは焼き目も付けられ、非常に風味があり、フランス料理のトリュフのようなアクセントを加えていました。
チャーシューは、豚肩ロースチャーシューで低温調理されているそうです。
ロースらしいしっかりとした歯ごたえと風味が良い感じです。
麺は三河屋製麺の平打ち細麺をつかわれているそうで、心地良い歯ごたえ、噛みしめると旨味を感じる麺です。
鶏ガラとまぐろ節から抽出したスープ、2種の煮干しと昆布、椎茸から水出しした出汁を合わせたダブルスープだそうです。
タレには白醤油をつかい、全体からは和の雰囲気を感じさせています。
添えられたフライドオニオン、マッシュルームそれぞれの香りが、熟成されたスープのアクセントとして、1段階アップグレードさせたラーメンへと変貌しています。
青竹手打ち佐野ラーメン 加州屋 (2023年10月11日〜16日)
麺屋ようすけで約3年も腕を振るった後、2023年5月に念願の独立オープン。
経験を活かした唯一無二の佐野ラーメンを振る舞う、小林加州也店主率いる「青竹手打ち佐野ラーメン 加州屋」さんです。
佐野ラーメン五重奏~クインテット~(醤油)
ご当地ラーメンの中でも、大好きなの佐野ラーメンのお店とあって、お邪魔する前からテンション高めで期待大です。
見た目は正統派的な佐野ラーメンのような印象です。
具材はメンマ、ナルト、ほうれん草、葱といたってシンプルです。
メンマは大きさがバラバラに切られていますが、かすかに芯を残しつつも絶妙な煮込み具合で歯ごたえ、甘さのある味付けが美味しいです。
佐野ラーメンの特徴でもある、大きめに切られ、厚みもある豚バラチャーシューです。
豚肉の臭みは丁寧に消されつつ、脂や肉は痩せていない丁寧な仕事が伺えて美味しいです。
麺も佐野ラーメンらしい中太縮れ麺で、透明感のある見た目です。
モチッとした食感がありつつ、チュルチュルとすする瞬間の心地よさ、スープとの絡みも非常に良いです。
スープのベースは、豚・鶏・牛・魚・野菜の5種類の食材から抽出したスープに、3種の醤油をブレンドした特製ダレをつかっているそうです。
最初は「薄い」と感じるのですが、飲みすすめると、奥にある旨さ、香りをじょじょに感じることができます。
結局、最後まで心地良く飲み干せ、玄人好みのような奥深さのあるスープでした。
味噌ラーメン 雪ぐに(2023年10月4日〜6日)
2021年創業。創業以来50年以上愛される新潟の大人気店「食堂ミサ」出身の店主が、美味しさと新潟の想いをのせた名物のミソラーメンを提供する柴田雅大店主率いる、神奈川・横浜の「味噌ラーメン 雪ぐに」さんです。
※この週は1週間の前後で2店舗が出店されますが、雪ぐにさんのレビューのみとなります。残念ながら「麺の風 祥気」さんは、仕事のため訪問できませんでした。
上越味噌ラーメン満足セット
上越味噌ラーメンに、満足セット(穂先メンマ、岩のり、味玉)がセットになっています。
ラーメンWalkerキッチンで、私が食べたラーメン史上、最強のボリューム感がありました。
ラーメンにのった具材は、味噌ラーメンらしい、もやし、玉葱、挽肉です。
シンプルな具材ですが、ラーメンとの一体感があり、一度火入れをしているような感じです。
麺は4種の小麦をブレンドした啜り心地抜群の自家製中細縮れ麺です。
モチモチとした食感で歯ごたえがありつつも、喉越しが良い感じで、麺そのものの味も非常に感じさせてくれました。
新潟県妙高市「太田醸造」さんの、2種の熟成味噌をオリジナルブレンドした芳醇な味噌ダレだそうです。
最初は薄く感じるのですが、飲み進めると丸鶏や鶏ガラ、豚骨など8時間以上炊いて抽出した旨味に、サバや煮干し、昆布の和出汁を合わせたスープの奥行き感を感じられました。
別皿で提供されたチャーシューは、バラ煮豚、モモ吊るし焼、肩ロース吊るし焼の3種類です。
別皿の時は、それほど厚みなどは感じませんでしたが、ラーメンにのせると、厚みも大きさも立派なサイズ感です。
3種の部位をつかっているだけあり、それぞれがこんなにも味が違うのかと驚かされます。
こちらも別皿提供の満足セット(穂先メンマ、岩のり、味玉)です。
岩のりと穂先メンマはみそだまりをつかい、味付けがされていました。
3種類の味噌ラーメンを楽しめて見事ですし、それに見合うだけの麺のボリューム感も非常に良かったです。
チャーシューにせよ、麺にせよ、お店のサービス精神、お客さんを喜ばせようという感じが非常に伝わる一杯でした。