外観
山梨県の笛吹市街から河口湖方面に向かう県道36号線(通称:笛吹市川三郷線)に上がり、10分ほど行き側道に入ったところにあります。
看板を目安に橋を渡り、農道のような山道をあがったところの一軒家レストランです。
駐車場
最寄り駅はJR中央本線の石和温泉駅ですが、11kmとかなり遠めなので、車で来店するお客さんがほとんどです。
駐車場は敷地内に4〜5台ほどのみ置けますが、ほぼ完全予約制なので、問題はないと思われます。
店内
玄関の扉を開けると、席の手前にエントランス部分があります。
ホテルのロビーを思わせるような、センスある家具や暖炉などが置かれた空間は、広めな窓からは甲府盆地を望むことができます。
窓の前にカウンターが広がり、空間の後部にテーブル席が配置されます。
カウンターは半オープンキッチンで、奥の厨房で作られた料理のフィニッシュ(温めや具材の追加等)をおこなっています。
席はカウンター5席、テーブル8席の全13席となっています。
メニュー
ランチタイムにお邪魔したので、食事はランチコースのみです。
他のメニューとしては、ドリンクやアルコール類などです。
スタッフの方に話を聞くと、夜は1組のみの、完全予約制となっているそうです。
ランチコース
蕎麦やイタリアンなどの料理を楽しめるコース料理になっていて、料理はスタッフの方が1つ1つ丁寧に説明して頂けます。
※各料理名は、わかりやすくするために、メニューの表記とは異なります。
鯖のスモーク
1品目はタルト生地にのせられたカナッペのような、鯖のスモーク料理です。
カジュアルに手にとって食べる前菜になっています。
薄く焼かれたタルト生地の上に、ゴルゴンゾーラとジャガイモのムース、スモークされた鯖、かいわれ大根などがのせられています。
パリッと音を立てる、優しくも歯ごたえのあるタルト生地、ゴルゴンゾーラの風味をしっかりと感じられるムース、丁寧にスモークされ、しっかりと主張しつつも絶妙なスモーク加減の鯖。
どの具材もしっかりと主張するものの、トータルでのバランス感や口の中で相互して混ざり合う感じが素晴らしいです。
鶏肉のトムヤムクン風味
さつまいものペーストを敷いた上に、鶏肉でトムヤムクンと八丁味噌で炊き上げた牛蒡を巻き、キャベツなどの野菜がのせられています。
ソースのベースはカブと発酵舞茸のクリームソースで、黒いブラックオリーブと竹炭を混ぜ合わせたものだそうです。
鶏肉は低温調理でじっくりと火が入っているようで、柔らかさが非常にあり、牛蒡やキャベツなどといっしょに食べると美味しさを非常に感じられます。
トムヤムオイルが効いているので、アジアンでエスニックな風味がありつつ、クリームソースの円やかさが非常に魅力的な一品です。
温かいお蕎麦
蕎麦一品目は温かいお蕎麦です。
お椀のサイズはそれほどないので、汁まで飲み干すことができます。
汁の中には韓国海苔がのせられ、舞茸、しめじなど5種類ほどのきのこが入っています。
麺はパスタを思わせるような平打麺で、汁を吸いこみ、モチモチとした食感が美味しいです。
汁自体は薄めな味付けなのですが、きのこの風味が合わさり、絶妙な味加減で汁を完成させている感じです。
富士桜ポークのロースト
甲州産のブランド豚、富士桜ポークをローストにして野菜を添えた一品です。
添えられた野菜はほうれん草、カリフラワー、ズッキーニなどです。
カリフラワーとズッキーニは細かく切られ、見た目の彩りも考えられており、どの料理も野菜にしっかりと味があり、美味しさ、調理加減も見事です。
富士桜ポークは赤身が残りつつ、鶏肉同様に低温調理されているのか、肉の旨味がギュッと閉じ込められています。
シェリービネガー、醤油、胡麻油で作られたソースは、馴染みあるような和風な味付けですが、野菜やお肉の味を見事に表現されています。
ざるそば
料理のメインとなるのが、ざるそばです。
イタリアン料理が続きましたが、最後の〆はしっかりと蕎麦屋さんのお蕎麦という印象です。
蕎麦汁は、醤油がメインというよりも、返しがメインになっている感じで出汁風味です。
塩気はしっかりとありつつ、上品で素材の旨味が丁寧に抽出されています。
お蕎麦を食べ終わり、蕎麦湯として葱などを添えて飲みますが、実に見事な味です。
これだけで一品料理のスープとして十分成立するくらいに、完成度の高い蕎麦汁です。
運良く、蕎麦は新蕎麦を食べることができ、蕎麦をそのまま食べると甘みと香りが非常に良いです。
〆の料理として出されますが、150〜200gほどのボリュームがあり、蕎麦を食べた実感を十分感じられる満足度です。
蕎麦の見た目は蕎麦粉の中心部だけをつかった更科蕎麦に近いような白さで、星はほぼ見られません。
自家製粉と思われ、十割で打たれた蕎麦は見事そのもの。
歯ごたえや喉越しも見事で、蕎麦汁と合わさった時の破壊力にも似たような味は、一流蕎麦屋の蕎麦そのものです。
デザート
デザートは蜂蜜のアイスクリームとシフォンケーキです。
器もしっかりと冷やされており、アイスクリームも最後まで美味しく食べられました。
アイスクリームの蜂蜜も暴力的な味付けではなく、主張はしつつもバニラの甘さと良くマッチングしています。
シフォンケーキも、口溶け良く、ケーキそのものの焼き加減、製粉技術なども高いものがあります。
あとがき
山梨方面に用事があり、ランチのお店を探しているときに、「イタリアンとお蕎麦の融合」というお店を発見して、シュチュエーションや料理の写真などを見ても美味しそうだったので、お邪魔してみました。
前菜から、味、素材、調理方法など、レベルの高さを感じつつ、どの料理もこだわりと、味のバランスや繊細さななど見事の一言に尽きます。
コースの中で数種類のイタリア料理で満足度も十分なのですが、〆のざるそばは、100軒以上の蕎麦屋を食べ歩いているのですが、本当に度肝を抜かれるくらいの驚きと衝撃を受けました。
優しい雰囲気の御夫婦で営まれる一軒家レストランは、蕎麦もイタリアンも絶品でした。