蕎麦前とは?
江戸時代に江戸で流行っていた蕎麦。今で言えば最先端のファーストフードという感じでしょうか。
蕎麦屋では今と違い、注文を受けてから蕎麦を切り、茹で、冷やす。という工程があるため、お客さんに提供するまでに時間が掛かっていました。
気が短くセッカチな江戸っ子は、蕎麦をサッと食べたいのだが、いかんせん時間が掛かる。
そこで、蕎麦を食べるまでの時間に、蕎麦でつかわれる具材の天ぷらや蒲鉾などを肴に、日本酒などのお酒を楽しませていたそうです。
そのことが「蕎麦前」と呼ばれるようになり、粋な蕎麦屋の愉しみ方として現代まで続いています。
蕎麦を食べる前の「大人の愉しみ」としての「蕎麦前」の料理をご紹介したいと思います。
代表的な料理
蕎麦前を愉しむための代表的な料理をいくつかご紹介いたします。
蕎麦前で使用している醤油などの食材は、蕎麦との共通点も多いので、食べ歩きで蕎麦屋にお邪魔する際には、お店の実力を知る上でのバロメーターにもなります。
板わさ
蒲鉾(かまぼこ)切ったものを、醤油とわさびでいただく料理を「板わさ」といいます。
美味しい蒲鉾は非常に高価でもあり、日本酒と合わせたときの味はやはり格別です。
出汁巻き玉子
蕎麦で使用する出汁を使って焼いてるお店も多く、やはり味の指針としては抜群です。
繁盛店などで多くの料理を提供する中で、火を使用した料理がちゃんと美味しいということは、それだけ手際が良いという見方もできます。
焼鳥
蕎麦屋さんで焼鳥を出すお店はだいぶ少ないのですが、あれば食べて欲しい料理でもあります。
お酒の肴としてだけでなく料理や素材のレベルが一目瞭然ですから。
蕎麦がき
蕎麦がきとは、蕎麦粉を熱湯でこねて餅状にしたもので、手打ちをおこなっているお店でしか食べることができない一品です。
出汁につけたり蕎麦汁に付けたりとお店によってさまざまで、塩で食べさせてくれるお店もあります。
また提供の仕方もお湯や出汁に浸かっていたりなどお店によって愉しめます。
天麩羅
天麩羅蕎麦として食べるのもかまいませんが、天麩羅だけを食べるというのも蕎麦前でオススメします。
お店によっては塩で嗜むなど食べ方もいろいろで、四季によるネタの変化も愉しみたいものです。
お店によっては蕎麦を抜き、蕎麦汁と天麩羅で愉しむ「天ぬき」を蕎麦前と出している場合もあります。
名産品
地方に行って蕎麦屋さんにお邪魔した際には是非とも食べたいのが各地の名産品や特産品です。
海の近くなら海老や貝を使用した料理、鱚(きす)や穴子などの天麩羅などがあります。
さいごに
長く食べ歩きをしている中で美味しいお蕎麦屋さんを見つける1つの指針として、蕎麦以外の料理が多いお店がありました。
蕎麦だけではなく料理にまで気を配り、それを調理するだけの技術や目利きがあるというのは、やはり一流の職人さんでなければできません。
もちろんお蕎麦屋さんで食べられる料理はこれだけではありませんので、お蕎麦屋さんで蕎麦前を楽しんでみてください。