ブログには常に1000軒前後のレビュー記事がアップされ、埼玉や東京などの関東地方を中心に年数回の旅行などで全国各地を年間200軒ほど食べ歩いています。
関東在住ですが旅行好きということもあって、地方の飲食店さんにも足を運ぶのが一番の楽しみです。
飲食店さんの魅力を少しでも多く発信・共有できればと思いますので、気が向いた時にでも訪問お待ちしております。
茨城県鉾田市にある「村屋東亭」は、大正7年(1918年)創業の老舗蕎麦店「村屋」を前身とし1983年に現在の店名でオープンしました。
店主の渡辺維新氏は、名店「一茶庵」の創始者・片倉康雄氏の教えを受けて蕎麦改革に取り組み、手打ち蕎麦の技術を磨き続ける職人です。
渡辺氏は蕎麦職人になる前は東京メトロの乗務員をしており、妻の実家である村屋に婿入りし蕎麦の道へ転身しました。
村屋東亭は、常陸秋そばの普及に尽力した店としても知られ、香り豊かで弾力のある「外一」蕎麦(蕎麦粉10に小麦粉1の割合)が特徴です。
鉾田市街から茨城県道2号(通称:水戸鉾田佐原線)で、大洗方面に向かう途中のホームセンターの隣にあります。
最寄り駅は、鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の新鉾田駅ですが、徒歩33分、約2.3kmあります。
街の蕎麦屋さんのような外観ですが、入口付近の紅葉や暖簾に雰囲気があります。
店舗敷地がかなり広く、かなり多くの台数が駐車できます。
線などは引かれて無く、自由に置くことができますが、おおよそ20台くらいは置けそうです。
ハキハキとした言葉遣いの女将さんがお出迎えしてくれ、「お席は自由にどうぞ」と案内してくれます。
入口から横に広く和の様相の店内は、窓側に小上がりの座敷席とカウンター席があります。
カウンター席も座敷席と違った雰囲気がある佇まいです。
店内の所々には、古い木製のカレンダーのようなものなどが飾られ、歴史の長さを感じられます。
入店してすぐのところには麺打ち場があり、麺棒や石臼などを見ることができます。
白い粉1つ残っておらずキレイに掃除が行き渡り、丁寧な仕事振りが伺えます。
蕎麦は冷たい蕎麦と温かい蕎麦に分けられ、それぞれが数種類程度のみで、厳選して調理されているようです。
蕎麦前の蕎麦がきや玉子焼きなどは一切なく、蕎麦以外ではお酒のみが提供されています。
蕎麦は季節によって内容が変わるようで、ちょうど夏の終わりかけにお邪魔したため少なかったのかも知れません。
天ぷらの付いたせいろそばになります。
「霙そば」や「けんちんそば」が人気のようですが、天せいろも結構注文されているようでした。
天ぷらは、ピーマン、茄子、海老2匹で、十分な食べごたえがありました。
海老はかなり大きめのものがつかわれ、プリプリとした鮮度の良い感じが美味しかった。
衣は一見すると厚めのように見えますが、具材に付いているのは少なく、重たいイメージはありません。
それぞれの具材には、食べやすいように隠し包丁が入り、火の通り具合も絶妙です。
蕎麦はざるに平らに盛られているので、見た目はそれほど多くはありませんが、食べれど食べれど減らず、ボリュームによる満足度はかなり高めです。
お客さんの中には「大盛」を注文する方も多く、いっぱい食べたい気持ちも理解できました。
薬味は刻み葱と辛味大根で、どちらもたっぷりのボリュームです。
山葵が無いのが不思議に思っていましたが、辛味大根のほど良い辛さが蕎麦汁、蕎麦の旨味を引き出していました。
汁は黒色よりもやや赤身が掛かり、ボルドーワインのような色合いです。
利尻昆布と本枯節によって抽出された出汁がかなり効き、醤油はまろやかな味わいのものがつかわれています。
蕎麦汁が少なく、蕎麦を食べ終わる頃には無くなり、蕎麦湯を楽しめなかったのが残念。
蕎麦は蕎麦粉10に対して小麦粉1をつかう「外一」の技法が取られています。
麺は細く、抜群の喉越しと口溶けの良さがあり、食べていて抵抗の無い自然さがあります。
東京メトロの元乗務員という異色の経歴を持ちながら、蕎麦屋への転身を遂げ、今では当たり前となった「手打蕎麦」や「自家製粉」などを早くに始め、「常陸秋そば」の普及に尽力されました。
「町の蕎麦屋」のような佇まいの中にも、蕎麦を美味しく食べられる雰囲気のようなものがあり、優しく温和な御主人と女将さんの人柄が出ているような蕎麦でした。