外観
JR金沢駅から徒歩12〜13分ほどの商店街から一本入った路地裏にあります。
ツタの絡まり具合、赤提灯、暖簾と呑兵衛の心揺さぶられる要素満載の外観です。
高砂さんは大変人気があるお店なので、電話での事前予約をオススメします。
訪問時は平日の雨が降っているのにも関わらず、開店間際には20人ほどが並び、その後は入店を断っている場合もありました。
店内
店内も昭和感漂うおでん屋風情が良い感じです。
カウンター席に座ると、おでん鍋が目の前に並び、雰囲気をさらに盛り上げてくれます。
席はカウンター10席ほどに、小上がり、テーブルの全27席となっています。
メニュー
メニューにはおでん種がずらりと並びます。
知っている定番物からお店独自のものまで種類は20種類ほどです。
ドリンク類は日本酒、チューハイなど、それほど種類は多くありませんが十分な感じです。
ドリンク
生ビールと梅チューハイです。
生ビールは一番搾りで、ジョッキはやや大きめです。
梅チューハイは業務用のエキスを割ったもので、あまり濃さはありません。
おでん
おでんは、ある程度まとめて注文します。
お皿には山盛りにしないようで、ある程度の数を注文すると「また次ね」と言われます。
定番の玉子です。
味は普通ですが、おでん汁は以外にも関東風だそうで、濃いめの汁には親近感があります。
こちらも定番の大根です。
シミシミな感じで非常に柔らかくて、大根と汁の旨味が美味しいです。
生姜風味の白味噌がのせてあり、こちらも非常に美味しいです。
関東でもよく目にする牛すじです。
こちらもしっかりと煮込まれているので、溶けるような食感です。
大根と同じように白味噌が付けてあるので、牛すじのクドさは一切ありません。
こちらは金沢おでん特有の車麩です。
お麩には、おでん汁が非常に染み込んでいて、噛みしめるたびに旨味がジュワッと広がります。
おかわりおでんで、できるだけ多くの種類を注文してみました。
こちらは赤はべんで、一般的には赤巻などとも呼ばれる蒲鉾です。
ぷっくりとした食感で、歯ごたえと風味が良い感じです。
こちらは椎茸です。
どんこ椎茸ほど大きくありませんが、一般的な椎茸より大きめな傘を持つ椎茸です。
おでん汁を目一杯染み込ませて、ジュワッと来る旨味が好きでした。
こちらは、ばい貝です。
本当は大きな貝に入っているのですが、お皿に入れる都合上、貝を割ってくれました。
煮込まれているので、身の食感は少し固めですが、肝と身の味の違いや食感は絶品です。
こちらは蟹面です。
香箱蟹や箱蟹と呼ばれるズワイ蟹の雌で、蟹面は蟹を丸々一匹つかったものです。
解禁日は毎年11月から12月までの2ヶ月しか食べることができない貴重なネタであり、金沢おでんを有名にした立役者でもあります。
蟹面は面の中に、蟹足、内子(卵巣)、外子(受精卵)を順番に入れ込んだものです。
濃厚な甘みを持つ内子と、粒々な食感が楽しめる外子は、それぞれの違いが非常に面白いです。
1つ1つ丁寧に食べるのも悪くないんですが、かき混ぜて食べると、また違った風味と食感を味わえます。
蟹面の最後は、具を少し残し、日本酒を注ぐと風味と旨味が抜群に美味しいです。
あとがき
今回、金沢を訪れた目的の1つがこの蟹面です。解禁日が非常に短い希少な蟹なので、一度は食べてみたいと思い続け、やっと食べることができました。
昭和風情の外観、店内、怖そうな親父さん、予約時は「1時間だけだけど大丈夫?」と聞かれるなど、「食べながら怒られてしまうのかなぁ」と想像していたのですが、実に優しい人柄。人情のあるお店ってこういうことだなと実感します。おでんのネタもしっかりと作り込まれ、選ばれたものも実に美味しいです。
メニューに値段が書かれないのは、時価のものが多いのもあるでしょうが、お会計時は木札のようなもので計算されています。値段を気にせず料理を楽しんだり、長居するのではなく、さっと出るのが金沢おでん流かもしれません。