須川宿(たくみの里)
平安時代後期に源頼義によって創建され、明治10年(1877)には129軒の家屋があり、三国峠を越えるためとして栄えた三国街道の宿場町です。
現在は町並みが整備され、木工、竹細工、和紙などの様々な手作り体験ができる「たくみの里」として、年間50万人が訪れる観光地となっています。
外観
町のちょうど真ん中ほどに位置し、目の前には水車小屋があるので、見印にするとわかりやすいです。
小さく店名はあるものの、古民家に暖簾が掛かり、風情のある趣です。
店名は「山雨堂」と書いて「さんうどう」ではなく、「やまあめどう」です。
駐車場
店舗の目の前に公共駐車場があり、10台ほど停めることができます。
町の外れには、道の駅や観光案内所などがあり、大型駐車場がありますので、散策がてらお店まで歩いても7〜8分ほどの距離です。
店内
店内はオシャレな食堂になっていて、雑貨なども販売されています。
電球や小物などがキレイにレイアウトされ、食事を待つ間も飽きることなく楽しめます。
席は長テーブルや小上がりの座敷、ソファなど約30席ほどです。
メニュー
料理は定食のみで、蕎麦やご飯とのセットとなっています。(蕎麦単品での注文はできません)
種類はそれほど多くはありませんが、魅力的な料理名が並んでいるので、悩んでしまいます。
お水
食堂はご夫婦お二人で切り盛りされているので、お水がセルフサービスになっています。
お水がキレイな場所だけあって、お水も非常に美味しく印象的でした。
もみじますヅケめし 手打ちそばセット
奥利根の山奥で育った紅葉鱒の漬け丼とお蕎麦がセットになっています。
箸は竹で作られているので、たくみの里らしい情緒を味わえます。
真ん中には卵黄が落としてありますが、弾力も良く甘みも抜群で美味しいです。
紅葉鱒は色合いも非常にキレイで、臭みも無く上品な脂が乗り、とろけるような味わいです。
蕎麦汁は返しがしっかりと効き、出汁と醤油のバランス感も非常に良いので、そのままでも美味しいです。
蕎麦がやや黒みが掛かり、表面には星を見つけることができます。
配合は二八くらいに感じ、周辺では蕎麦が栽培されているので、その蕎麦粉がつかわれているのかも知れません。
手打ちされた蕎麦は、コシ強めで喉越しも非常に良く満足度も高めです。
山雨堂あばんざい膳
お盆の中に9品の小鉢が一度に楽しめるおばんざいです。
野菜をメインにしているので、非常にヘルシーでビジュアル的にも非常にキレイです。
おばんざいはご飯か蕎麦を選ぶことができます。
ご飯の炊き加減も良く、群馬県内有数の米どころだけあって、お米自体が非常に美味しいです。
ご飯はお代わり自由なので、のせてある味噌だけでも一杯食べられてしまいます。
キャベツとなめこのお味噌汁でした。
味付けはおばんざいというだけあって、京風に近いような薄味で、スッと落ちるような優しい味付けです。
お新香はカブと胡瓜です。
浅漬けで薄めの味付けですが、しっかりと素材の味が引き出されています。
トマトには、醤油風味のタレがかけられ、ひと手間が加わっています。
青菜のおひたしです。
野菜はどれも地元で採れたものがつかわれているので、新鮮そのもので美味しいです。
南瓜とインゲンの胡麻和えです。
白と黒の胡麻の風味があり、南瓜やインゲンとの相性も抜群です。
酢味噌和えです。
しらたきと青菜でシンプルながらも、ご飯のおかずにもなるような味付けです。
茄子の煮浸しです。
薬味には葱とミョウガが添えてあるので、夏野菜らしくサッパリとしつつ、煮付けも味付けもシミシミです。
胡瓜とキクラゲの春巻きです。
皮は薄めのものがつかわれ、春巻き特有の油っぽさも抑えられ、水分が多い食材の胡瓜が見事に馴染んでいました。
あとがき
山雨堂さんは、以前は「たくみの里食堂」として営業。2020年にリニューアルし、現在の店名に変更されました。
「観光地にある食堂」というと、どこか家庭料理の延長という感じと味で、ある意味ホッとするのですが、山雨堂さんは食べていて、しっかりとした技術や味の知識を存分に感じられるので、きっとどこかで修行経験があるか、日々研究されているのだと思います。
料理の素材も紅葉鱒や野菜、お米、蕎麦など「土地ならでは」という食材が多くつかわれ、地産地消を実践されるとともに、ここでしか食べることができない、訪れる季節ごとに違ったものが食べられる、こういうお店は貴重だと思います。
群馬と新潟の県境「三国峠」を抜ける国道17号は何度も通っているのだが、ちょっと道を外れただけで、こんな素敵な場所があるのすら気づきませんでした。