店舗情報
- 店名
- 瓢亭 京都南禅寺畔
- 住所
- 京都府京都市左京区南禅寺草川町35
- 営業時間
- [4月~11月] 8:00~11:00 12:00~16:00 [12月~3月] 9:00~11:00 12:00~16:00
- 定休日
- <本店>第2第4火曜日 <別館>毎週木曜日
- ジャンル
- 和食
店舗所在地
公式サイト
その他の掲載サイト
外観

京都市内の知恩院がある円山公園から北に向かい、日本一の高級別荘地と言われ、有名企業などの別荘地が構える閑静な地にあります。
外観はひっそりとした佇まいに、どことなく凛とした静けさを感じさせてくれます。
最寄り駅は京都市営地下鉄の蹴上駅から徒歩5分です。
瓢亭本館

別館から20〜30mのところに瓢亭本店があります。「花洛名勝図会」(1864年発刊)では、すでに京の名勝の一つとして数えられていた瓢亭。
創業は1837年と歴史も古く、400年以上続く老舗中の老舗です。
「くずや」と呼ばれる草葺の屋根を持つ茶室は築400年の建物なので、お店を見に来るだけでも一見の価値があります。
それぞれの時代を支える文化人、茶人、経済人、京の旦那衆など多くの人々を魅了し続けてきた、南禅寺門前にある老舗料亭です。
来店前に

当然のことながら人気のお店なので予約は必須です。
一休や、食べログなどのネットをつかえばカンタンに予約を取ることができます。

人気の朝粥は、本館と別館で営業時間、時期や価格も異なります。
別館では朝粥(3月16日〜11月30日)、鶉粥(12月1日〜3月15日)迄です。
本館では朝粥(7月1日〜8月31日)、鶉粥(12月1日〜3月15日)迄となっています。
店内

外観の印象よりもカジュアルな作りですが、落ち着いた雰囲気に心が穏やかになります。
どんなお店かと不安が多かったのですが、予想以上に居心地は快適そのものでした。
水が流れる立派な中庭を眺望できるので、飽きることなく時間が過ぎていきます。
梅湯

席に着くと梅と昆布の梅湯が出てきました。
さすがに瓢亭の料理は器や盆なども非常にキレイで、目でも料理を楽むことができました。

味は非常に素朴なのですが、シッカリと昆布と梅の風味を感じることができ、体の中をするっと抜ける様子が分かるほどです。
朝粥

瓢箪型の三段の器とお皿に八寸が出てきました。
朝粥はどんなものかと思いきや、しっかりとした京料理のコースになっていました。

盆には季節の料理が盛り付けられています。
おぼろ昆布と山椒の葉がアクセントになっている鯛のおぼろ寿司。
ほのかな酢の酸味を感じつつ、絶妙なご飯の口溶け、もうこれだけでも満足感があります。

有名なのが瓢亭玉子です。
見た目は普通の茹で卵ですが、その茹で加減が絶妙そのもの!
黄身や白身が液体から個体に変化する、本当に一歩手前に火が入れられ、プルプルとした食感に感激します。

瓢箪型の三段重です。瓢亭の料理や建物にはお店のシンボルである瓢箪が随所に散りばめられているので、それを探すのも楽しいです。

湯葉、南瓜、里芋、さやえんどうなどの煮物です。
実にシンプルですが味は見事。これほど美味しい煮物に逢ったことがあるのだろうか。と思ってしまいます。

鰆ともずくの酢の物です。非常に食べやすく、口の中での風味が素晴らしいです。
つかわれている素材もさすがですが、味付けなどの加減も見事です。

梅甘煮です。
梅が持つ甘さや香りを残しつつ、実に見事なデザートに仕上がっています。
梅の形から崩れる瞬間を止めたような、食感と見事の味には惚れ惚れします。

箸休めのお吸い物です。
蓋を開いた途端、海苔の香りが広がります。
豆腐の甘さと大豆の風味を残しながら、すっと消えるように抵抗感を全く感じないです。

朝粥は、食べ進める頃合いを見計らい、炊き上げられるので、その繊細さには敬服させられます。

お椀の中は、お新香の胡瓜漬物、粥の薬味として昆布甘露煮、鯛でんぶです。
胡瓜は初夏を感じさせてくれるような、若干の青臭さを少し残しながらも非常にさっぱりとした季節感をもたらしてくれます。
昆布は甘過ぎず辛すぎず、絶妙な味加減とホロリとした食感です。

朝粥の蓋を開けると、それだけで絵になりそうな美しさがあります。
味は純粋かつ繊細で、炊き上げられたお米の甘みを感じさせてくれます。
米の粒を舌先で感じつつ、口の中で優しく溶けるようなふっくらさがあります。
朝粥には、出汁と醤油で仕上げた葛あんが付いてきます。絶妙のとろみで口にしたときは強めの醤油と出汁の印象が残りますが、喉元を過ぎる頃には消えてしまう。そんな不思議な味でした。
あとがき
瓢亭といえばグルメ漫画「美味しんぼ」で、「日本一の朝食」と表現され、食に興味がある者なら、その名を一度は耳にしたことがあるくらいの有名なお店です。
どの料理も絵になるほど美しく、味は非常にシンプルではあるものの、繊細さと素材、味の奥深さを、まざまざと見せつけられたような衝撃がありました。
人生で一度は食べたいと思っていたお店にお伺いでき、自分の生活や食を見直すきっかけにもなった気がすると同時に、京料理や日本料理への興味が湧いてきました。