外観
東京メトロ千代田線の根津駅から日暮里方面に5分ほど歩き、根津神社からほど近いところにあります。
建物は街の甘味処というよりも、観光地にある甘味処のような簡素な印象です。
店内飲食の利用だけでなく、商品持ち帰り専用のカウンターがありますので気軽に立ち寄ることもできます。
店内
シックで落ち着きある店内で、壁には昔の店舗が描かれたイラストなどが丁寧に飾られています。
店内で働いているスタッフは女性の方のみのようで、どの方も物腰の柔らかい優しい接客が印象的でした。
席はテーブル席のみで全16席となっています。
メニュー
あんみつやみつまめといった甘味処定番のメニューがあります。
頻繁にアイスクリームの名前が付いた(あんみつにはクリーム)メニューがあります。
食事のメニューはなく、甘味とドリンク類があるのみです。
メニューから推測するに、「和」の甘味処さんという印象が強いものの、不思議な感じがありました。
不思議の真相は、芋甚さんの成立ちにあるようで、文末のあとがきに書き残しました。
まめかん
豆の光具合と照り加減が何とも言えず、食べる前から美味しさを自らが猛烈アピールしているようです。
立派な大きさの器で、この一品だけでもかなり満足感が得られそうです。
ゴロゴロとした豆は大きく感じるほどで、表面の皮が良い具合の歯ごたえを残してくれています。
絶妙な塩加減と豆独特の風味が残っている仕上げは、豆好きにはたまりません。
寒天は固すぎず、かと言って柔らかすぎず、口の中で絶妙な食感が伝わってきます。
蜜は黒糖のようなしっかりとした味付けですが、サラッとして後味にもしつこさがありません。
アベックアイス
二代目の店主が考案したアイスで、小倉を「男性」、バニラを「女性」に見立てたことが名前の由来だそうです。
左の白いのがバニラアイスで、練乳と粉乳をそれぞれ2種類ずつ混ぜ合わせて作られおり、素朴ながらも上品な味わいです。
右の黒いのが小倉アイスで、北海道産小豆と砂糖のみで作られ、小豆の味がダイレクトに伝わりつつ、どこか懐かしい感じがあります。
アイスには追加料金で最中を付けることができます。
パリッと音が聞こえるくらい鮮度が高く、もち米の風味が香ばしく、アイスをのせるとシットリとパリパリの食感を同時に楽しめました。
表にはアイスモナカがアルファベット表記されていて、ヴィジュアル的にも可愛らしいです。
あとがき
芋甚さんはもともと、市場で仕入れた芋を切って焼き焼き芋屋さんとして創業。本来は尾張屋の屋号があったものの、創業者の山田甚蔵さんが芋を焼いているから「芋甚」となったそうです。
2代目が関東大震災の後、1912(明治45)年にアイスクリーム屋さんとして開業しました。
アイスやまめかんなどは、膨張剤、保存剤、添加物も一切使っていないからこそ、素朴でどこか懐かしいながらも素材の味がちゃんと伝わってきます。
現在も製法や材料を変えることなく、昔ながらの味を守り、代々家族で経営されたその温もりが味に伝わっているようで、下町の人気甘味処として何度でも訪れたくなるお店です。