コーヒーのプロ
今回、お話を聞かせてくれたのは、Nif Coffee(ニフコーヒー)代表取締役の小川健介さん(右)と、取締役の渡邉健也さん(左)です。
お二人は、もともと世田谷の千歳船橋駅近くにあり、国内のコーヒー業界内ではかなり有名な堀口珈琲で2021年6月まで働いていました。
その後独立、2021年9月1日にネット販売によるコーヒー会社Nif Coffee(ニフコーヒー)を設立されました。
2人ともに、コーヒー鑑定士の国際資格「Qグレーダー」を取得する、正真正銘の世界基準のコーヒーのプロフェッショナルです。
コーヒーの専門技能の国際資格であり、正式には「Licensed Q Grader」と呼ばれる。バリスタがコーヒーを淹れる職人を指すのに対し、Qグレーダーはコーヒーの品質を評価できる職人を指す。SCA(スペシャルティコーヒー協会)が定めた基準・手順にのっとってコーヒーの評価ができるとQグレーダーに認定される。
コーヒー豆が飲めるようになるまで
お邪魔したのは、神奈川県川崎市(小田急生田駅から徒歩5分ほど)にある、Nif Coffee(ニフコーヒー)さんのオフィス兼工場です。
オフィスの前には「少しでも多くの人に美味しいコーヒーを」ということから、手軽に購入できるコーヒーの自動販売機を設置しています。
コーヒー豆はどうやったら飲めるまでになるのか?
実際の作業を見せて頂きながら、「コーヒー豆が飲めるようになるまで」を教えてもらいました。
選別
麻袋に入ったコーヒーの生豆です。
雑貨屋さんなどで売られている麻袋を見たことはありますが、実際にコーヒーが入っているのを見るのは初めてです。
生豆の状態では淡緑色で香りも草っぽく、コーヒーの香ばしさなど全くありません。
Nif Coffee(ニフコーヒー)さんで扱う生豆は、最高ランクにある「スペシャリティ」という生豆のみ。この日は「ブラジルのボン・ジャルディン農園」の豆を使用していました。
たとえ「スペシャリティ」とグレードが高い豆であっても、味わいを損ねる豆はある程度混入しています。
中には1粒混入するだけで不快な味になったり、ダメージを受けた豆はカビが繁殖しているケースもあり、味わいだけでなく安全のためにも選別作業によって取り除きます。
穴が空いた原因は、コーヒーベリーボーラーと呼ばれる虫が食べた跡で、1粒で著しく味わいを損ねることがあり、体にも良くありません。
他にも異物、未成熟や変色など、味に少しでも悪影響を及ぼす豆を選別、取り除いていきます。
1回の焙煎で使用するためには、原料の生豆選別が1人でおよそ1時間掛かるという、地味だけど重要な作業です。
焙煎
選別されたコーヒー豆は、焙煎機に投入され炒られます。
コーヒーの味を決めるのは「豆:6、焙煎:3、抽出:1」だそうで、美味しいコーヒーを作る上で、非常に重要な作業になってきます。
焙煎はその焙煎時間によって、浅煎り、中煎り、深煎りの3段階に大きく分けられます。
焙煎機のハンドルは豆の焙煎具合を見るためのもので、引き抜くと豆を少量取り出すことができ、豆の色、香り、シワの伸び具合、煙の様子等確認するそうです。
ハンドルの下の小窓からも具合を見ることができます。
焙煎が進むと豆が色付いて、普段見かけるような褐色になってきます。
この頃には少しづつコーヒー本来の香ばしさが出てきます。
20分ほどで焙煎が終わった豆は、ファンの風とかき混ぜによって冷まされます。
焙煎(ロースト)は、街の喫茶店などで「自家焙煎」と書かれているところだと、この作業を行っています。
検査作業
焙煎後にも、選別作業で取り切れなかった不良豆を再度検査します。
焙煎した後でないと見つけにくい不良豆もあり、美味しく安全に飲んで頂くためには欠かせない作業とのこと。
ミル・梱包
Nif Coffee(ニフコーヒー)さんでは、焙煎後すぐにコーヒー豆まま、もしくは挽いた状態にしてパッケージングし、可能な限り新鮮な状態で密閉していきます。
コーヒーを挽く際に使用するミル(グラインダー)も非常に重要で、粉を均一に挽くことが美味しいコーヒーの要素だとか。
こうしてさまざまな作業を経て、やっとコーヒーとしての商品になります。
あとがき
いつもは喫茶店やカフェなどにコーヒーを飲んでいるので、素朴に「コーヒーはどうやって作られているのか?」とずっと疑問に思っていました。
Nif Coffee(ニフコーヒー)のお二人は、文中にも書きましたがQグレーダーという資格を有し、珈琲屋さんで10年以上働かれていたプロ。
貴重なお話の中でさまざまなコーヒーの話も聞くことができましたし、お二人とも「大のコーヒー好き」というだけあり、「美味しいコーヒーを作るためには?」への追求やこだわりを非常に感じることができました。
こうしたプロの方の努力があるからこそ、美味しいコーヒーが飲めることを実感しました。奥が深いコーヒーの世界だけに、自分の無知識さを実感。まだまだ勉強不足だと思いました。
Nif Coffee(ニフコーヒー)の小川さん、渡邉さん貴重な御時間をありがとうございました。