外観
川越から坂戸や毛呂山をつなぐ、埼玉県道39号から鳩山方面に向かう途中の田園地帯にあります。
最寄り駅は東武鉄道越生線の川角駅ですが、約2.5km、徒歩40分でかなり距離があります。
店舗は壁に囲まれたような造りで分かりにくいですが、駐車場に大きな看板が設置されているので、近くまで来れば分かります。
駐車場
店舗敷地内に砂利の専用駐車場があり全部で10台ほど置くことができます。
とくに白線や車止めなども無いため、はじめに来店した方に合わせて停めていくようです。
店舗
木の門を抜け敷地に入ると入口までのわずかな距離ですが、喧騒から離れたような静かな空間の庭を抜けていきます。
カエデなどが植えてあるので、新緑や紅葉時期など四季折々の表情が見れそうです。
たった数秒、数メートルを歩く時間ですが、ふと非日常感を味わえ気持ちを高まらせてくれます。
庭からのアプローチを抜けると入口に到着します。
古めかしく茶色に染められた暖簾に、何気ないオシャレさを感じます。
店内
入口を入ってすぐのところには、麺打ち場が小窓から見え、麺棒などがキレイに手入れされています。
店内空間は高い天井には和紙の灯り飾りが下げられ、落ち着きある居心地の良さを感じます。
席はテーブル席20席、個室2室の各6名位で、全30席前後くらいです。
メニュー
蕎麦は温かいものと冷たいもので、それぞれ各7〜8種類ほどがあります。
とろろや天ぷらなど、蕎麦屋さんで見慣れた料理がラインナップされています。
蕎麦の他には、ごはん類、一品料理、甘味などがあります。
メニューには、料理の素材やこだわりなどが細かく書かれているので、料理が運ばれてくるまで待ちながら読むのも楽しいです。
おぼろ豆腐
豆腐は越生町にある「大豆工房みや」さんの豆乳をつかった自家製豆腐です。
大きくけっこうボリュームがあるので、2〜3人で食べても全然大丈夫なくらいです。
豆腐はスプーンでも取れくらいに、しっかりと緩めのちょうど中間くらいの固さです。
そのまま食べると、大豆の甘みと香りがシッカリと感じられます。
添えられた沖縄県産の「美味塩」と食べると、甘みが増される感じがしましたが、醤油でも頂いてしまいました。
季節野菜の天せいろ
天せいろは、天ぷらの数を4品と7品から選ぶことができたので、4品の天ぷらでお願いしました。
天ぷらのネタはズッキーニ、スナップエンドウ、葱坊主、サツマイモで、つかわれている野菜は近隣周辺の農家さんなどから仕入れたものだそうです。
揚げ油には米ぬかを原料とする米油がつかわれ、衣は非常に薄く強火で短時間に揚げられ、素材にもしっかりとした熱の入りがあります。
葱坊主を初めて食べましたが、葱の独特の臭みは皆無で、非常に強い甘みがあり、高級料亭などでも食べられる季節食材だそうです。
サツマイモは厚めに切られ、中身は焼き芋のように黄色に色付き甘みタップリでした。
蕎麦汁はかなり濃い色合いで、ボルドーもしくは黒に近いような色です。
鰹出汁や返しもしっかり効きつつ、蕎麦の甘みを活かすような、濃いめで江戸前の蕎麦汁のようです。
蕎麦は浸さず、先だけに汁をつけるとグッと蕎麦の風味を実感できました。
蕎麦は季節などにより産地を選ばれ、訪問時は、宮崎県都農町と川南町を配合したものでした。
表面は若干の星が見えるくらいで、ほぼ玄蕎麦に近いよう。
自家製粉された蕎麦粉と、小麦を9:1で繋いでいますが、二八と十割の良い所取りという感じがたしかにあります。
繋ぎも良く十割のようなボソッとした感じは無く、二八くらいの滑らかな歯ごたえです。
お善ざい
甘味は3種類ありますが、それぞれに北海道大納言をつかい和三盆糖で味付けられています。
なかなか甘味を蕎麦屋さんで見つけることが少ないので、あるとついつい注文してしまいます。
小豆は時間が掛けられ、緩めに炊かれているため、口溶けていくほどの柔らかさです。
甘みを少し強めに感じ、小豆の味が弱いのが残念です。
ぜんざいには、そばがきがつかわれているので、味やボリューム含めて食後のデザートとしてはけっこう重めかと。
あとがき
創業は2016年。店主は八王子の名店「車家」さんで修行をされ、その後に独立されたようです。店内でジャズが流れるのでで、修行先は立川の無庵さんかと一瞬思いました。
蕎麦はもちろん、天ぷらや一品料理まで、趣向とこだわりを随所に感じさせてくれます。とくに天ぷらは、お蕎麦屋さんで食べるレベルとしては非常に美味しかったです。
入口までの庭を通る時間、天井が高い店内空間など、食事を含めて時間を楽しめるお店でした。